高齢者は体の機能が低下し、歩くのが困難になります。
たとえば「関節が痛い」「つまずきやすい」「転倒するかもしれない」「疲れる」などさまざまな理由で、歩く機会が減ります。そして、家でじっとしたまま過ごそうとする利用者さんは多いのではないでしょうか。
しかし、二足歩行動物である人間にとって歩くことは基本的な行動であり、生きる上で重要です。もし、高齢者が歩くのを諦めてしまったら、結論からいうと寝たきりになるなど要介護リスクが格段に上がります。
具体的には、歩かずにじっとしていると、体の機能が今以上に衰えます。特に筋肉が衰えますから、ますます歩けなくなります。
筋肉だけでなく骨も弱くなります。筋肉も骨も負荷を掛けることで強化されるため、歩くことは利用者さんの骨折予防にもつながるのです。
体の機能が衰えることだけではありません。運動不足になり、結果的に生活習慣病にかかりやすくなります。
副交感神経の働きも弱まるため体内時計が狂いやすく、睡眠不足になりやすいのもデメリットです。
さらには家の中でじっとしている時間が増え、人と会わなくなり、社会的に孤立しやすくなります。
孤立は心身に大きなストレスを与え、高血圧やアルコール依存症、うつ病、認知症など、さまざまな疾患の原因になると考えられています。
このように、歩くことは健康と深く関わっています。健康寿命を延ばし、高齢になっても元気に過ごすためには、歩行習慣をつけることが大切です。
介護職は無理のない範囲で歩いたり外出したりすることを促し、歩行介助も万全の体制で行いましょう。